
D. Snowdon,
Aging With Grace
Bantam Books, 2001, 242 pages,
ISBN 0-553-38092-3
(日本語訳は、「100歳の美しい脳
読もうと思った理由
・加速学習法の本(No.67)で、研究内容が紹介されていた。
・アルツハイマーに興味があるので。
普通読み数時間、
かなり日数があいてから、SR&D&MM。
内容のメモと感想
・疫学の研究者である著者が、
修道院のシスターたちの調査を行い、
さらに医学者、言語学者、心理学者と共同で、
どういう人が長生きし、アルツハイマーになりにくいか
研究している。
対象は、アメリカのカトリック系の修道院、
School of Notre Dame にいて、
1991年に75歳以上の600名余りの修道女である。
・修道院のシスターたちは、
食べ物、住居、医療が皆ほぼ同じレベルであり、
煙草を吸わない、一生独身、など生活形態が
似ていて、疫学の研究をしやすい。
また、若い頃からの記録が全て残っている。
・大学卒の人は大学を出ていない人に比べて、
アルツハイマーになりにくいそうだ。
・修道院に入る時(平均22歳)に
規定でエッセイを書くことになっている。
このエッセイの分析がおもしろい。
10単語当たりに含まれる概念数が多いほど、後でアルツハイマーに
なりにくく、ポジティブな感情の言葉が多いほど、アルツハイマーに
なりにくい。
後でアルツハイマーになりやすい人は、
簡単な短い単語を使って、平板な文章を書いている。
70代以降にアルツハイマーになるかどうかが、
20代前半の作文でかなりわかってしまう。
・しかし教育や作文の内容は、原因でなく結果の可能性も高い。
生まれた時から、安定した子供と、いつも泣いている子供が
いて、性格はある程度できている。
・脳卒中がアルツハイマーの引き金になりやすい。
脳卒中を防ぐには、「歩く」ことがよいそうだ。
また、栄養はよく言われるように、いろいろな種類の
果物や野菜を食べるとよい。
・研究のプロセスがわかって、おもしろい。
・修道院の仕組みがわかって、興味深い。
修道院では昼間からお祈りをしているのだと思っていたが、
そうではなくて、上からの命令で、いろいろな仕事をするらしい。
小学校から大学まで、教える仕事につく人が多い。
その人の能力に応じた仕事を与えられる。
9月から5月までの9か月教えて、夏の3ヶ月は、自分の勉強をして
ステップアップする。修士号などをとり、大学で教える人もいる。
原則的には上からの命令で仕事が決まるが、
本人の希望も反映される場合があるらしい。
ある女性は、子供の時からアフリカに行きたくて、
「アフリカに行きたい」と言い続けて、
60代になって派遣されている。
この女性は29歳で学士号、44歳で修士号をとり、
大学で教えていた所、地理学のポストがあき、
大学の勧めで地理学を勉強して、
51歳で修士号、55歳で博士号を取得しており、
パワフルである。
・20世紀前半、家があまり豊かでない場合、修道院は
女性が質のよい教育を受ける方法として役立っていた。
教える仕事を続けながら、夏は大学に通って、
修士号や博士号をとることができる。
老後も小さい個室に住むことができ、
体が不自由になっても手厚い介護を受けて、
本でわかる範囲では、幸せな人生を送っているようだ。
自分の持ち物をあまり持てないなど制限はあるし、
もちろんその宗教を深く信じないといけないので、
万人向けではないが。
・お勧めの本。
風雨にさらされて朽ち果てるような生き方ができればいいのですが、どーなることやら、、、
Aging with Graceというのは、おそらく、若い頃の生き方で、老年期の生き方がかなり決まり、個人差も大きいのだと思います。
本の中でも、第2次世界大戦中にドイツからアメリカに2人やってきて、同じように修道院に入ったのだけど、全然違う生き方だった、という話が出てきました。